お手本依存症に気をつけろ!
WEBマーケティングで結果を出されている方の著書で仕掛けがあるせいか、内容にグイグイ引き込まれました。説得力があるから、ふむふむ、これはマネして取り入れようと思いながら、読み進めていると、この「お手本依存症」でドキッ!とさせられます。
世間の常識として、初めて何かを学ぶ時って、自分の頭の中はカラッポだから、先人のいいとされるモノやコトをお手本にしなさい、と言われますよね?しかし、これが厄介だと言うんですね。お手本を参考にやってみて、それがうまくいってしまうと成功体験になり、既存のものを模倣して作ればいいと誤認してしまい、その結果、創造性も奪っていくから厄介だと。
そして著者は、「どうか、自身の仕事の進め方を振り返ってみてほしい。無意識のうちに、この「お手本」に囚われてはいないだろうか?」と問いかけます。
「お手本」に囚われている人の仕事のやり方は、生成AIの学習のロジックに酷似していて、そういう仕事はいずれ生成AIによって代替される可能性が高い、と警鐘を鳴らしています。
本書ではクリエイティブを作る際のお手本依存症を取り上げていますが、ほとんどの仕事に当てはまりそうです。事務でも営業で技術でも、前任者がやっていたからそのとおりにやっている、新しい書式が作れない、新しい請負業務の見積もりが書けない、新製品を設計できないなど新しいことはできない、なんて典型ではないでしょうか。
生成AIを使いこなして、味方につけられるか、今のうちに真剣に考えて、敵に回しそうなら、打開策を早急に実行しないといけないでしょう。
以上、お手本依存症はほんの1コラムの話なんですが、仕事と生成AIの関連性に興味があったので取り上げました。もちろん、本書のメインパートを読むとタイトルにある、戦わずして売る技術として、WEBマーケティング戦略の考え方やWEBマーケティングスキル、マーケティングが最終的に商品開発に至る流れがわかります。Webを主戦場として、マーケティングに関わっている方は、当面この本に書かれた内容の理解と実践に注力してみてはいかがでしょうか。
身につけたい考えや行い

もはやWEBの世界は「現実社会の集約点」になっている。
真のWEBマーケターに求められるのは「志」である。
ABテストの海を泳ぎ、膨大なデータを分析しながらも、常に「この情報は誰を幸せにするか?」を唯一の羅針盤としなければならない。
「戦わずして売る技術」―それは、WEB情報を制し、世の中を動かすために現代のビジネス戦士が手に入れるべき、最強のスキルである。
7.6兆円―これが2024年現在の日本の広告費総額だ。その内訳を見ると、WEB広告費が3.6兆円と全体の約47%を占め、既存メディアをとっくに追い越している。
マーケティングは、競争を避け、顧客にとって本当に価値あるものを提供するための道具である。競合との無意味な戦いをやめ、売れ続ける新たな市場を作る―それが、私の考えるマーケティングの本質だ。
マーケティングの本質は「戦い」ではなく「棲み分け」にあるということだ。
マーケターの仕事は、その商品の特性に応じて、「誰に広告を見せるか」「誰に見せないか」という棲み分けのルールを作ることだ。
WEBマーケティングの世界では、棲み分けこそが最強の戦略である。
3つの競合
プロダクト競合
インサイト競合
メソッド競合
競合との戦いを避けるためには、この3つの敵をしっかりと見極め、それぞれに対する戦略を練ることが不可欠である。
市場の可能性は実際に行動してみないとわからない。
商品そのものが持つ価値こそが、すべてを決める鍵。
一流のマーケティング担当者になるためには、感性とデータ分析力の両方を高めていくことが不可欠なのだ。数字だけに振り回されることなく、感覚だけに頼り切ることもなく、両者を融合させることが成功の鍵である。
広告とLPのつながりのことを「エモーションリレー」というが、エモーションリレーの改善案は、数字と感性の両方がないと絶対にできない。
結局のところ、ユーザーがパッと「それはいい!」と思えるかが重要である。人がものを買うという行動は、そうしたシンプルな感情が大きく影響するのである。
ターゲットを「どんな人」に設定し、この商品の「どんなこと」を伝えれば最高の反応を得られるだろう?それに向けて全力を尽くすのだ。
顧客理解とターゲット設定の精度を極限まで高め、ターゲットの変化がメッセージに及ぼす影響を鮮明にする「北の達人式顧客ニーズの9段階分類」。
「買う人はいると思う」というのは、ターゲット層が明確に見えていない証拠。
「北の達人式USP分類チャート」では、USPを4種類に分類している。
商品の奥に潜んだUSPを発掘するのがマーケターの仕事だ。
USPとは単なるキャッチコピーではない。市場の呼吸を読み、競合の気づいていないニーズを捉え、自社の強みを層のように積み重ねる戦略的プロセスだ。
マーケティングとは相手の視点に立って戦略を構築することである。
北の達人式マーケティング・コンセプト抽出法
結果を偶然に任せるのではなく、設計する。それが、マーケティングの本質である。
あなたのやるべきことは生成AIのようにお手本を見て学習するのではなく、あなた自身が「自社や自社商品」「ユーザー」「競合」を研究して作ったクリエイティブをお手本として生成AIに学習させ、生成AIをあなたの分身にすることである。
安定したビジネスを行うためには、ビジネスモデルをどうするかが鍵になる。
WEBマーケティングの効果を最大限に引き出すためには、表面的な数字だけでなく、ビジネスモデル全体をしっかりと見極める必要がある。
レスポンス戦略が優れていれば、あらゆるリーチ戦略が武器になる。逆にレスポンス戦略が貧弱なら、最新媒体も無価値だ。
人が何かものを買う時の理由は主に2つあり、1つは「商品理由」、もう1つは「自分理由」である。
思考フォーマット「スライド式思考法」
自社サイトで売れる商品とECモールで売れる商品はまったく違う
目次
プロローグ
第0章 マーケティングに「WEB」と付けるのは、もうやめよう
第1章 古いマーケティングは死んだ! WEBの力で市場を再生せよ
第2章 WEBマーケティングの奥義は、データの冷たさと人間の温かみを織り交ぜる技である
第3章 ビジネスモデルを制する者が市場を制す! 売れる仕掛けの黄金戦略
第4章 逆算思考と本質追求が生むヒットの方程式
エピローグ
あとがき
ズルいよ、そんな終わり方……。著者を突き動かす原動力がそれなら、ほかの人はなかなかマネできないよ。最初、そう思ったけど、でも置き換えはできるから、大切なあの人に誇れる仕事をする、でいいんでしょうね。誰かを意識することで、自問することができる。良書なのは間違いないので、実践しながら、身につくまで読み返してみます。折に触れて、また毎週月曜日とか週一で通読するのもアリかな。
紹介した本

| 書名 | 『戦わずして売る技術』 |
| 著者 | 木下勝寿(きのした・かつひさ) |
| 出版社 | 幻冬舎 |
| 発売時期 | 2025年9月 |
| ISBN | 978-4-344-04485-2 |
| 税込価格 | 1,870円 |
